2006年09月

2006年09月30日

26日。品川でミルバ(イタリアの国民的歌手)の来日コンサートの舞台演出で来日している、イタリア在住の演出家・井田邦明さんと、ギタリストで三味線奏者の阪本剛二郎さん、そして、さとうじゅんことで、来年2月にイタリアで開催予定のフェスティバルの打合せ。このフェスティバルにproject suaraの参加が正式に決定しました。今後、外に向けて活動できる、とてもいい機会を与えていただけました。あまり時間もありませんが、作品つくりも含めて、前向きに進めていきたいと思います。詳細等が決まりましたら発表させていただきます。

28日。西巣鴨の、にしすがも創造舎に、クナウカの『マハーバーラタ』の公開リハーサルを観に行く。にしすがも創造舎に来たのは、2002年に、永谷亜紀さんの作品『投機分子02』のリハーサル以来です。その時に、森山開次さんとも出会ったのでした。このような施設の存在はとても貴重です。今後、project suaraでも使わせていただきたいと思っています。

クナウカは10月から1ヶ月間、フランスに滞在して公演をされる予定です。パリにオープンしたケ・ブランリー国立博物館内のクロード・レヴィストロース劇場のこけら落とし公演に『マハーバーラタ』を、パリのカフェドラダンスで『王女メデイア』を2週間、上演するそうです。11月19日のダンストリエンナーレ TOKYO 2006で、ご一緒する美加理さんが1ヶ月間、日本を離れることになります。私も9月は森山開次さんの全国ツアーで、東京を2週間ほど離れていましたが、当初から予定していたことなので、ゆっくり確実に作品つくりを進めてきました。

私は美加理さんの出演した『ムネモシュネの贈りもの』、『トリスタンとイゾルデ』を観に行きました。美加理さんにはproject suaraの作品『青い月』、能楽師・津村禮次郎さんとのパフォーマンス『面打』、神村恵さんとの『うろ』、そして、先日の森山開次さんとの『KATANA』公演を観ていただきました。お互いのパフォーマンスを肌で感じて、ふたりの作品をイメージしてきました。すでに第一弾の音構成をお渡ししていましたが(美加理さんからは、30分強のご自身がパフォーマンスして編集した映像をいただきました)、9月に新作CD『sketch 2006』を先行発売をして、新しい音に向かいたい、新しいことに挑戦したいという思いに掻き立てられました。

その後、北海道を旅行しながらフィールドレコーディングをし、美加理さんと衣裳の高橋佳代さんと一緒に行った「ふるさとの森」の空気感もあらためて収録してきました。美加理さんが日本を離れている間に、一度、音構成を壊して、再構築し、フランスに送りたいと思っています。私も美加理さんも、ふたりを引き合わせてくれたプロデューサーの小野さんも、音と踊りのすり合わせ的な作品を望んでいないので、音の気配、身体の気配がせめぎ合う、強度ある作品を発表したいと思う。世界を見据えた作品をつくりたい。

今日は到着が遅くなって、結局、通しリハーサル(ゲネ)の最後しか観ることができませんでしたが、美加理さんが出発する前にお話しができてよかったです。タイトルも決まりました。『生のものと火を通したもの/闇の碧』です。音を磨きたいと思います。ふたりの作品を楽しみにして下さい。

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2006年09月26日

20日。池袋でさとうじゅんこと能美健志さん、そして、川口眞人さんとで、3月の公演の打合せをする。今回、能美さんの主催公演で、さとうじゅんこが構成・演出をします。私は音楽で参加。会場が決まりました。今後、詳細等が決まりましたらお知らせします。

23日。デザイナーの小林和史さん、映像作家の甲斐さやかさんに、緑あふれる「ふるさとの森」に連れて行っていただく。今回で3回目。前回、クナウカの美加理さんと衣裳の高橋さんとも行きましたが、今回は「ふるさとの森」の空気感を収録するために行きました。11月のダンストリエンナーレ TOKYO 2006の作品つくりです。沼にあるあずまやで録音。とてもいい空気感でした。新しい音を楽しみにしていて下さい。

8月。神楽坂ディプラッツ「ダンスが見たい!8 批評家推薦シリーズ」で、神村恵さんと甲斐さやかさんと公演した『うろ』の評を、推薦人の石井達朗さんが書いてくれました。コムコム.comです。ぜひ、ご覧になって下さい。今後、作品『うろ』は神村さんとじっくり取り組んでいきたいと思います。

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2006年09月20日

12日。関西国際空港。さとうじゅんこと音響家の重信さんとたこ焼きを食べて大阪とお別れをする。大阪から北海道に出発。夕方、十数年ぶりに札幌に到着。空気が澄んで気持ちいい。映像作家の千田さんと落ち合い、さっそく会場の札幌市教育文化会館小ホールに向かう。すでに森山さん、杉本さん、東海林さん、橋爪さんが会場入りしている。疲れを見せず笑顔で迎えてくれる。会場のキャパは350人ぐらい。劇場らしいコンサートホール空間。舞台も広く、次のステップのためにもいい経験になると感じる。ただ、本公演のみTaguchiの音響システムを導入できない。音を奏でるまではとても不安だが、今後、海外公演などがあった場合は、今回のようなケースもあるだろう。ある意味これは大きなチャンスを与えてもらったと思う…が、私にとって楽器である音響システムを、いつでもどこでも持ち運べるようにしなくてはいけない。そのためにもっともっといい活動をしていかなくてはいけないと思う。

重信さんが劇場の音響担当者、杉本さんは地元の照明家にご協力いただきセッティング。各地のスタッフのご協力に感謝します。会場つくりが順調に進む。夜、本日の会場つくり終了後、札幌公演でお世話になっている嶋さんに、美味しいジンギスカンのお店に連れて行っていただく。皆で、明日の公演に向けてパワーをつけるのだ。連日、皆は元気にモリモリ食べている。森山さんも調子がいいようだ。このツアーでは、出演者もスタッフも劇場の外に出ると、心を解放して楽しい時間を共に過ごしている。森山さんとはリハーサルや本番では戦っているので、こんなにリラックスしてお話しをしたのははじめて。しかし、仲良くなっても、皆は劇場に入ると集中する。今回、とてもいい関係がつくれたと思っている。明日は『KATANA』の全国ツアーの最終公演です。

13日。いよいよ最後の公演。昼に会場入りすると、舞台つくりが進んでいて、照明のチェックがはじまっている。明かりつくりを観ながら、会場全体の空間を身体で感じる。本公演も客席の真中の一番後ろから音を奏でる。森山さん、お客さん、劇場全体の空気感を感じて音を奏でる。照明つくりが終わりサウンドチェック。劇場の音響システムで音を奏でながら、重信さんが私の音に合わせてチューニングの設定を変えていく。ここのスピーカーでは50Hzや64Hzの低域のテクスチャが再現できない。ここのホール用に低域を探る。この建物は80Hzの周波数が共振する。80Hzと160Hzの低域を上限にそれぞれ別トラックで抽出し、パンを振って建物が揺れる音をつくる。中高域も音の粒を再現できないので、天井に斜めにセッティングされているセンタースピーカーを使うことにする。なかなかイメージしている音が奏でられないが、重信さんも粘り強く、このシステムの限界まで音つくりをしてくれる。津村さんの謡いは、これまでTaguchiスピーカーでは、まるで、そこに津村さんが存在し、謡っているような音つくりをしてきましたが、今回はそれができない。さとうじゅんこのアドバイスで、後半に向けては巨人が舞い降りてきたような音つくりをすることにした。札幌バージョンです。時間はいくらあっても足りないが、いま出来る最高の音つくりができた。自信をもって音を奏でたいと思う。

本番前に楽屋で集中していると、本作品の謡い手である、能楽師の津村禮次郎さんがひょっこり顔を出してくれる。最終公演を東京から観に来てくれたのだ。相変わらず素敵な立ち居振る舞いを感じて、より気が引き締まる。本番直前に森山さんと「SW」と合言葉を交わして劇場に向かう。客席には向かいの劇場でマッスルミュージカルの公演を終えた、森山さんのお兄さんの姿も見える。津村さんとはアイコンタクト。本番。今日は森山さんが少し遠く感じるが、しっかりその空気感を感じることができる。音を奏でながら音つくりをする。今日はシステムが変わったので、慎重かつ大胆に攻める。森山さんも勝手が違うようだが、最後のパフォーマンスで魅せてくれた。東海林さんの椿と雪、杉本さんのラストの照明は美しかった。

最終公演。いろいろな意味でハードルが高かったが、次に繋がるいい公演になった。そして、とても貴重な経験をさせていただいた。カーテンコールで森山さんと握手。これが最後かと思う。袖に引き上げて、津村さんとも握手。「作品はどうでしたか?」と聞く。全体を通して音、踊り、演出について語ってくれる。津村さんは東京~大阪公演中は北欧で公演をされていたので、これが最初で最後の舞台を観てもらったことになる。Taguchiスピーカーで音を聴いていただけなかったので残念。作品全体を厳しく感じていただき嬉しかった。また本公演には札幌の知人にも観ていただけた。少しは成長した姿を感じていただけたかな…。

公演後に、また嶋さんが素敵なお店に連れて行ってくれる。全国ツアーが無事終わったので皆で乾杯をする。それぞれ晴々した顔をしている。森山さんもほっとした感じでやさしい笑顔。札幌公演は音響システムを導入できなかったので、残念な気持ちと学ばさせていただいたという気持ちが交錯していました。津村さんに「海外公演のためにいい経験ができた」と話すと、「やはり、一番大切にしているものは、海外でも実現させないといけないね」と話してくれた。その通りだと思う。さらに上を目指したいです。音を奏でることに集中させてもらった、さとうじゅんこと重信さん、そして、Taguchiに心から感謝します。

公演の評が朝日新聞や読売新聞で掲載されていました。名古屋、広島、大阪、北海道の新聞でも掲載されたのでしょうか?読まれた方は教えてください。また、お客さんからアンケートで多くの感想をいただきました。これだけアンケートの回収率が高い公演ははじめてです。今後の活動の参考にさせていただきます。ありがとうございました。また、私の新作CD『sketch 2006』もCD離れが進むいま、多くの方に求めていただき、心から感謝しています。CDをお聴きになった方、ご感想、ご意見等をこちらに送っていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。楽しみにしています。なお、店頭や通信での販売は10月下旬を予定しています。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。

『KATANA』は私にとっても森山さんにとっても転機となる作品になりました。また、この機会にCDを発表させていただいたのは、次の音に向かうためでもありました。作品『KATANA』でもその断片を奏でましたが、公演後は北海道の空気感をフィールドレコーディングして旅をしたいと思っています。今後の音にご期待下さい。

次は森山さんや全国ツアーのメンバーといつ会えるのだろうか?それぞれがすでに新しいことにチャレンジしている。私もCDのプロモーションを兼ねてライブ活動をしたいと思っている。また、11月のダンストリエンナーレ TOKYO 2006において、クナウカの美加理さんと公演する新しい作品つくりも進めます。次の公演ではTaguchiや重信さんにご協力いただき、ステレオではなく4ch(5.1chや4.1chではない)の作品を発表できればと思う。さらに、甲斐さやかさんとの映像作品、Taguchiの田口さんが展開しているZAIMでのON-COOプロジェクト(音響空間研究会)にも参加したい。皆で成長して、また作品でご一緒したい。今後の展開がとても楽しみです。

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2006年09月15日

11日。『KATANA』大阪公演の二日目で最終日。本日も午前中に会場入りをしてサウンドチェック。昨夜の公演の反省点も含めて細かいチェック。二日目はシステムも環境に馴染んだようでしっくりくる感じ。搬入を手伝ってくれた音響家の宮崎さんも参加。今日もいい音を奏でたい。

サウンドチェック後に森山さんと杉本さんとリハーサル。昨夜、納得のいかなかったところを特に集中してやる。東京では青山スパイラルホールで4回も公演ができましたが、名古屋、広島、札幌は1回公演のみ。ここ大阪は2回公演。1回目にできなかったことにチャレンジできるので嬉しい。森山さんもさらにいいパフォーマンスをと集中している。とてもいい顔。

本番。今日は平日の昼間公演にも関わらず、多くのお客さんが来てくれて満員。ありがたいことです。私の両親や知人も観に来てくれてる。出身地でもある大阪で、両親に観てもらうのはとても嬉しい。静かにオープニングの音を奏でる。森山さんの磨きあげられた身体が静かに浮かび上がる。舞台上の森山さんを感じると、彼の日常を感じることができる。

私もいっさいの妥協なしで音を奏でるが…低域から高域に切り替わる音でエネルギー感が足りない。演奏しながら重信さんに確認すると1台のアンプの調子が悪く、プロントのCMX1312メインスピーカーが鳴っていないことがわかる。何とかバックのCMX1312のパワーを上げて乗り切るが、結局、最後までフロントのスピーカーは使えなかった。会場が小さかったので、公演としては成立したが、やはり、私の音に大切な中域のエネルギー感が得られなかった。

公演後に重信さんとさとうじゅんこ、そして、宮崎さんと反省会。今後、今回のようなことは起こりうることで、技術で乗り切れたことはよかったが、どこかに慣れが生まれていたのかもしれない。「初心忘るるべからず」。調子に乗ってはいけない。

公演後にアフタートーク。今日は私も森山さんと対談方式で参加。8月に『うろ』公演で経験していますが、その時は、舞踊評論家の石井達郎さんに進行役もやっていただいたのでスムーズに進みましたが、今日は森山さんとふたりだけでのトーク。公演前に何も打ち合わせしていなかったので、どうなることかと思っていました。普段は、お互いあまり会話もせず、音と踊りで対話をしているので、不思議な感じでしたが、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。ただ1時間近くも話していたと聞かされ、私も森山さんもびっくり。公演時間は55分だったので…少し反省かな。

今日も皆で食事に出かける。途中、HEPの丸山さんと星川さんも参加。今後の展望などを語る。大阪でまた公演を実現させたいと思います。食事後にツアーメンバーだけで、たこ焼きを食べに行く。とても楽しい。とうとう残る公演は1回。明日は札幌に旅立ちます。

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2006年09月11日

10日。大阪のHEP HALLで『KATANA』公演の一日目。午前中に会場入りをして、さっそく音を奏でながらサウンドチェック。会場は舞台が小さく、この作品を公演するには難しいと思っていましたが、私も森山さんも、お客さんと身近に接することができる会場をとても気に入って、それぞれがこの空間で最高のパフォーマンスを魅せることに集中していました。会場が小さい分、建物全体が音に共鳴する。これは腕が鳴る。

今日も早くからお客さんが並んでくれている。そして、公演前に妹が素敵なシャツを持って来てくれる。本公演で衣裳として着ることにする。ありがとう。

本番。オープニングから音の調子がいいので、「SW」と言い聞かせながら音を奏でる。すでに本ツアーで「SW」(初心忘るるべからず)は皆の合い言葉になっている。ボランティアで手伝ってくれていた俳優のビーバー藤森さんが、カラフルなSWのデザインを何枚も印刷して、楽屋内に張ってくれた。嫌でも目に入る。札幌公演にも持って行こうと思う。今日は客席の一番後ろで奏でている私にも、森山さんが身近に感じられて、音をどんどんぶつけられた。臨場感のある舞台になった。明日、もう一回公演できるのが嬉しい。

今日は姉夫婦と姪、従姉妹も観に来てくれる。また妹の山登りのお友達が5人も観に来てくれた。「からだであそぼ」を見ている姪は、『KATANA』公演を観て「こわかった」とニコニコしていた。公演後に楽屋で森山さんと会えて喜んでた。HEPの麻田さんは音の気配が迫って来て、その存在にドキドキしたと話してくれた。いつも音の空気感や音の気配、音の存在感を大切に、音をつくり奏でているので、とても嬉しかった。また、ダンスボックスの大谷さんとも話す。音を気に入ってくれたようだ。何か面白いことを一緒にしましょうと別れる。

公演後に、森山さん、さとうじゅんこ、重信さん、杉本さん、東海林さん、そして、私でHEP FIVEの観覧車に乗る。夕暮れ時で夜景が美く、とても楽しかった。その後、食事に行く。途中で橋爪さんが来て、皆で楽しい一時。残りの公演に向けて皆の気持ちがひとつになる感じ。明日に向けて集中したいと思う。

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