2006年10月

2006年10月26日

22日。日本大通りの横浜創造界隈ZAIMに、Taguchiの代表・田口和典さんが主宰するON-COOプロジェクト(音響空間研究会)の「ON-COO Presents ZAIM Monthly Art Festa Vol.2」イベントに行く。今年の3月にBankART1929の企画において、ZAIMの一室でlive installation 作品『the sore』を、さとうじゅんこ、三浦秀彦さん、田口さんと発表させていただきましたが、あのころとはまったく様子が変わって、みなとみらいにお似合いのカフェができて、一般の方にもZAIMが認知されているようでした。いいスペースだったのでとても嬉しいです。

今日のお目当てはヒビノの音響家・宮本宰さんの64chマルチ音源による電子オーケストラ作品『「音の森」シンフォ キャンバス』でした。宮本さんはこれまでに、ローリングストーンズの来日公演や、愛知万博の富田勲さんの公演でサウンドデザインを担当し、24chマルチトラック・マルチスピーカの作品なども発表されていますが、今回、宮本さんのこれまでの技術と経験がすべて集約されたような作品でした。音を定位ではなく空気感で聴かすもの。ラベンダーの香りの演出が心地よく、さとうじゅんこもスピーカーの森をニコニコしながら歩いていました。とても楽しかったです。宮本さんの「いまが生涯で一番楽しい」の言葉が印象に残りました。

宮本さんには横浜美術館やBankART1929での「SoundDanceVisual」公演や、先日の青山スパイラルホールでの森山開次さんとの作品『KATANA』などで音を聴いていただき、Taguchiの新作スピーカー試聴などでご一緒して、私の音に興味を持っていただけていました。私も以前からご一緒したいと思っていました。私が2003年からあたためてきた音を素材にして、構想しているインスタレーション作品がありましたが、あまりにも規模が大きくて、実現は不可能と思っていましたが(2003年に新国立劇場の舞台で、音とオブジェではそれに近いことをやらせていただきましたが…)、宮本さんと田口さんとなら、音とサウンドシステムで、インスタレーション作品として発表できると確信しました。宮本さんにお話ししたところ、喜んでやりましょうと応えてくれました。いろいろ学びながら実現させたいと思います。まず、デモ用に音を制作したい。

そして、今日はもうひとつビックイベントがありました。田口さんとBJ ELECTRICの石河宣彦さんの新作・プロ用モニターシステムMIT-502[MUSICAK IMPACT+TAGUCHI - 5”(130mm)woofer×2]の試聴でした。石河さんにセッティングをしていただき、MIT-502専用アンプにMacを繋いで音を奏でました。これは世界に発信できるシステムの誕生でした。その音の気配、空気感、エネルギー感、スピードは抜群でした。私の低域にもほとんどユニットが動かないので、エネルギーがダイレクトに伝わる。音を奏でながらずっと興奮を抑えきれない感じでした。

途中、三浦秀彦さんや、11月19日の美加理さんとの作品(森山開次さんの『KATANA』でご一緒した)でご一緒する音響家の重信芳光さんが遊びに来ました。そして、音楽家のクリストル・シャルルさんも聴きに来て、「種子田さんの音は、なぜ、いつもこんなにクリアーなのでしょうか?」と嬉しいことを言ってくれた。その場で、12月にシャルルさんが教えている武蔵野美術大学で、さとうじゅんこと音を奏でながら、講義することになりました。これも縁です。学生の方々に音を体感していただき、お話しできるとても貴重な機会に感謝します。

帰宅後にさっそくsuaraスタジオにMIT-502システムをセッティング。自宅スタジオにMIT-502を導入していただけました。ほんとうに贅沢なこと…感謝です!ZAIMでは試聴時に少し周りが騒がしかったのですが、静かなところで音を奏でて、その素晴らしさにさらに驚愕しました。ボリュームに頼らない、このエネルギー感は特別なものだと感じました。中高域の自然なたたずまいや、低域の質感は、私が追い求めていた音を再現してくれました。このシステムに見合う作品をつくらなければと痛感しています。しかし、このスピーカーはもちろん、専用アンプの素晴らしさは、言葉では伝えられません。ぜひ一度、この音を体感していただきたいです。ご興味のある方はご連絡下さい。今後、田口さんと石河さんと、MIT-502の素晴らしさを伝えていきたいと思います。展開を楽しみにしていて下さい。

また、卓上用の小さなスピーカーも持って帰らせていただきました。ユニットが上を向いていて、その上にUFOを反対にしたような反射板がついたもの。フィールドレコーディングした音を奏でると、目の前に小さな世界がぽっと広がる感じがとても面白い。重宝したいと思います。パソコンに卓上用のスピーカーを繋げて音楽を聴く方には最適かもしれません。田口さんの探究心にはいつも感心させられます。田口さんの音つくりに応えられるように、音を磨いていい音をつくりたい。今後もご一緒に力のある作品をつくっていきたいです。

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2006年10月17日

14日。新潟の燕三条エフエム放送【ラヂオは-と 76,8MHz】から、申し込んでいた、最後の「瞽女唄伝承者」で無形文化財の小林ハルさんのCD「瞽女 小林ハル 母の墓前で涙の絶唱」が届く。小林ハルさんは2005年に105歳でお亡くなりになられたのですが、82歳、78歳、73歳と若い頃(!?)の3作品が収録されていた。1曲目は10歳の時に亡くした、母の墓前で唄われたものでしたが、録音状態の悪さが、よりその時の空気感を感じさせて心に響いた。絶唱といっても決して絶唱ではない。三味線も言葉も、その瞬間の感情をありのまま唄にしている姿が浮かんで美しかった。唄うことによって闇の、無限大の世界に手が届いていたのかもしれない。私もひとつひとつの作品を、大切につくらなくてはと感じさせられました。

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2006年10月13日

7日。青山スパイラルホールに、「表象乳房-コラボレートOPPAI」を観に行く。内田春菊さんなどのトークが終わった後に、去年、新国立劇場の「コラボレートする身体」でご一緒した、本郷重彦さん(舞台造形)と高田みどりさん(パーカッション)の作品「A song of Artemis アルテミス賛歌」を観る。本郷さんの鉄の彫刻は力強く静かに存在していた。ひさしぶりに本郷さんとお会いできて嬉しかった。

その後、上野公園水上音楽堂・野外ステージに、さとうじゅんこが出演している「十六夜コンサート 其の五~小島夕季 ジャワ舞踊の夕べ~」を聴きに行く。舞踊家の小島さんが主催のコンサートで、今年で5年目になるそうです。ランバンサリのガムラン演奏。月がポッカリと浮かび上がり、吹き抜けの会場に、青銅の響きがとても心地よかった。さとうじゅんこの唄は、ますます楽器に溶け込み美しい。芸大のガムランクラブでご一緒していた方々や、「イタリア演劇 四谷怪談の為の音楽」で、さとうじゅんこの衣裳を制作してくれた、デザイナーの川口さんも来ていましたが、皆、さとうじゅんこの唄にうっとりしていました。公演後に小島さんとお話ししましたが、続けることはとても意義深いと思う。来年もこの空気感を味わいたい。


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2006年10月12日

6日。嵐のようななか、青山円形劇場・青山劇場に向かう。プロデューサーの小野さんとダンストリエンナーレ TOKYO 2006の打合せ。11月19日に美加理×種子田郷の新作『生のものと火を通したもの/闇の碧』(青山スパイラルホール)を公演します。小野さんは、私と美加理さんのタイトルと作品ノートを観て安心したようです。お互いがお互いを感じて作品つくりを進めています。

美加理さんと小野さんは、第一弾として、美加理さんにお渡ししたCDのなかに、さとうじゅんこのいろんなヴォイスを素材として構築した作品を聴いて、新潟の瞽女唄を思い出したと言っていた。さとうじゅんこは芸大でソプラノを学びましたが、秋田の出身で、幼いころから秋田民謡を唄っていたので、節回しなどがそれを感じさせたのかもしれない。また現在はインドネシア・ジャワ島のガムランのシンデン(歌)で活動しているので、それらも影響しているのでしょう。美加理さんはフランスに行く前に、上野の博物館で瞽女唄の音源を見つけたそうです。私もその唄に触れてみたいと思う。

また今日は、私にとって楽器である音響システムの導入についても話しました。小野さんには、先日の青山スパイラルでの森山開次さんとの『KATANA』公演で、Taguchiの協力のもと、音響家の重信芳光さんとさとうじゅんことの音場創成を感じていただきました。今回も客席や舞台など、ほぼ同じ会場つくりになるので、大いに参考になったようで、導入を進めていただけることになりました。私の音つくりを理解していただき感謝です。ほんとうに贅沢なことですが、前回以上の音場を実現したい。

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2006年10月11日

5日。CD『sketch 2006』を取り扱ってくれる、新宿のTOWER RECORDS 9F「New age」コーナー代表の池田さんと会う。ディストリビューターの山崎さんに、この人だけはとご紹介していただき、先日の森山開次さんとの『KATANA』(青山スパイラルホール)公演を観に来ていただきました。池田さんに音を気に入っていただけたようで、TOWER RECORDSでのリリースはトントンと進みました。

池田さんは、すでにいろいろ考えてくれていて、じっくり聴き込む音楽で、ゆっくり動く作品と思われるので、店舗では、長期で試聴できるような展示をし、また、皆に認知されている、コンテンポラリーダンスのコーナーでも取り扱いましょうと話してくれました。とても嬉しい。音をライブで体感していただいて、ほんとうによかったと思う。

また、CD『sketch 2006』も聴いていただき、「最近、出回っている音圧中心ではなく、リアリティのある音の空気感は、はじめての体験。」と言ってくれました。そして、10月20日に発行されるTOWER RECORDSのフリーマガジンintoxicateでも、レビューを掲載していただけるそうです。今後の展開が楽しみです。この出会いに感謝します。

タワレコを後にして、来年2月に予定しているproject suaraのイタリア公演の打合せ。さとうじゅんこ、ギタリストの阪本剛二郎さん、そして、参加をお願いしているダンサーの方が参加。ダンサーの方には突然のお誘いでしたが、喜んで参加していただけるとのこと。まだ、正式には決定していないので、調整等ができましたら発表させていただきます。ジェノバとベネチアでの公演。しっかりコミュニケーションを取って、力のある作品をつくりたいと思う。

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