2007年09月

2007年09月17日

13日。横浜の吉野町で、さとうじゅんこと能管の録音をする。オイリュトミストの松山由紀さんが、10月にドイツで開催される、オイリュトミーのフェスティバルで公演する作品の音楽です。オイリュトミーは「目にみえる言葉の芸術」「目にみえる音楽の芸術」と呼ばれており、音楽や語られた言葉そのものを動きとして表現する芸術です。日本のオイリュトミストとしては舞踏家・笠井叡さんもいる。笛は、三宅流さんのドキュメンタリー映画で収録した「光の素足」(この時はシンプルに唄いと笛のみの構成)でご一緒した松田弘之さんです。能管の音は衝撃波なので、録音はとてもとても難しいがいい録音をしたい。

さっそく、松田さんに演奏していただきホールの響きを確かめつつ、マイクを2本セッティングする。1本はステレオでホールに共鳴する笛の空気感を、もう1本はモノラルで、笛から直進的に放たれる音のエネルギー感や松田さんの息づかい“気”までも取り込みたいと思う。どれだけリアリティのある音を録音できるかです。

1回目は松田さんのエネルギー感が伝わる鬼気迫る演奏でした。すごい集中力。少し間をおいて、もう一度、録音することにする。2回目はホールの空調を止めて、照明も少し暗めにしていただきました。松田さんはさらに集中力が増したようです。出だしは1回目よりも静かに奏でられる。いい感じだ。後半は途中、何度も何度も風が舞うような感覚を味わう。ほんとうにいい演奏だった。松田さんは、握力が弱くなって、何度か音が抜けてしまったと言っていましたが、私は2回目の演奏が好きだった。いい録音ができたので、皆も安心した様子。今後、ステレオとモノラルのミックスをして、本番までに音を構成していく。とても楽しみだ。松山さんの作品も楽しみです。

録音後に、皆で少し遅めのお食事をいただく。松田さんの笛を拝見する。300年もの歴史がある笛をお使いになっていて、笛に触れましたが、それはもう恐ろしい(!?)の一言でした。前田のお殿様由来のもので、大聖寺に80年も眠っていた笛だそうです。松田さんの前には十数人の方が使っていた(演奏していた)そうで…いろんな想いがつまった笛なのでしょうね。松田さんがこの笛と出会った時、箱は虫に食われて原形を留めていなかったらしく、笛も吹く穴や押さえる穴が広がり、ほとんど使える代物ではなかったそうです。その部分に漆を重ねて蘇らせたとのこと。松田さん自身は17年ほどお使いになっています。能管は竹でできているのですが、内側はただの空洞ではなく、石と漆で埋まっていて、空気のとおり道が狭まって、息で音を吐き出す感じだそうです。だから風が舞うようなうねりを感じたのですね。とても贅沢な体験でした。このような楽器と共に生きていくには、相当な覚悟が必要なのだと思います。

今後、また新鮮な気持ちで能の舞台を拝見できます。今日は楽しい一日でした。このような機会をありがとうございました。

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2007年09月14日

9日。上野にある東京藝術大学に、さとうじゅんこがシンデン(歌)で出演する、ジャワガムランクラブのコンサートを聴きに行きました。台風でどうなるかと思いましたが、とってもいいお天気で暑くガムラン日和になりました。今日は芸祭です。私も芸大のジャワガムランクラブにはずいぶん通いましたが、最近では芸祭にも行けず、何年かぶりに演奏を聴くことができて嬉しかったです。

芸大のガムラン(楽器)は約130年もの歴史があり、その響きは特別の輝きを放ちます。ガムランの素材は青銅で、きちんと演奏する(叩く)ことで空気が抜け、音程が安定し美しい音色を奏でるようになります。100年ほど経って、はじめていい音になると言われるほど奥の深い楽器です。project suaraにも5年ほどのガムラン(ガドン=小編成の楽器)がありますが、まだまだ子供です。今後、どんな音に生まれ変わるか楽しみです。

演奏は屋根付きのピロティ(野外)で行われました。ゲロン(男性の歌い手)が元気があってとても楽しかったです。さとうじゅんこもゲロンと絡んでほんとうに楽しげでした。また、ジャワガムランクラブに顔を出したいと思いました。

演奏会には知人でライターの近藤瑠漫さん(ペンネーム)と待ち合わせました。9月11日に単行本「ネット右翼とサブカル民主主義」が出版されました。ご興味ある方はぜひ読んで下さい。また、三宅流さんのドキュメンタリー映画作品「面打」で描かれていた能面打ち・新井達矢さんもいらっしゃっていて、次回、私の舞台作品でご一緒できたらと秘かに思っていたところだったので…これはやはり、お会いできてよかったです。近日中にアトリエにお伺いすることになりました。とても楽しみです。

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2007年09月08日

7日。神楽坂die pratzeに、楽曲提供しているP'Lushのダンスパフォーマンス作品「scratch」を観に行く。1ヶ月前に同じ会場でソロ作品「shin」を発表された玉内集子さんも出演。私の音楽はオープニングから15分ぐらい。特にオープニングは印象に残る美しさだった。また、玉内さんはご自身の踊りを確立しつつあるのではないでしょうか。今後がますます楽しみです。

公演後に作・演出の深谷正子さんとお話ししましたが、私のCD「sketch 2006」を、何度も何度も繰り返し聴いて、作品をイメージしてくれたとのこと。作品を観終わったら、皆、はじめの音に帰り心に残る…と言っていただけました。また《間》を感じてくれたそうです。とても嬉しかった。CDをリリースしてよかったと実感する。

本作品は、8日(土)、9日(日)も公演があります。お時間ある方は観に行って下さい。ただ、音響システムは会場に設置されているドンシャリ系の小さいスピーカーなので、音の空気感やエネルギー感を感じることはできませんが、ぜひ、3人の踊り手のパフォーマンスを体感して下さい。作品とても楽しめました。いつか、私の音のエネルギーを身体にぶつけたいと思う。


P'Lush ダンスパフォーマンス「scratch」
◎日時:9月7日・8日 開演 7:30、9日 開演 3:30
◎作・演出:深谷正子
◎出演:P'Lush<玉内集子・藤本理子・玉内類子>
◎会場:神楽坂die pratze

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