2009年02月

2009年02月21日

パリ、ローマ公演から続いていた「森山開次作品集」もとうとう千秋楽。新国立劇場入りしてからはあっという間でした。昨日の公演後、アリオン音楽財団の玉虫さんに「種子田節が聴けた」と言っていただきましたが、作品としてはまだまだという気持ちがありましたのでさらに集中し挑みたい。劇場入りしていつものようにサウンドチェック。毎日、お付き合いしていただいた河田さんと新国立劇場の音響家・吉澤さんに感謝です。サウンドチェックでスピーカーを…舞台を目覚めさせる。私の音はレンジが広いので音を奏でるとスピーカーの鳴りが良くなるのです。

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いよいよ最後の公演。舞台に行く前に森山さんに「昨日は高めたがまだ七割程度なので…」と言うと「では七割五分で」と…。七割五分?「sw」(初心忘るべからず)でね。

森山さんは昨日よりもさらに身体が軽くなりいい感じ。この作品は決して暗いものではない。「翁」は能舞台では年始に演じられるめでたい舞である。私の‘気’を乗せて音を奏でる。初日、二日目の課題だった繊細さを失わずにまたあまり気をてらわず自然に奏でる。いい流れで津村さんが浮かび上がる。マルチトラックの生演奏も音のテクスチャを微妙に感じる余裕を持てるようになる。音が引き過ぎると間延びしていた中間も音と身体が寄り添い離れいい時間軸で後半に向かう。今日は後半がテンポアップして一気に終演に…最後はもう少し聴かせたいと思ったが七割五分ぐらいで終わる。

客席の明かりがつくとプロデューサーの満面の笑みが…一緒に戦ってくれていたんだなと感じ嬉しかった。さとうじゅんこも笠松さんも笑顔。橋爪さんも明日香さんもエラさんも笑顔。皆に見守っていただき感謝したい。また舞台監督をはじめ公演に集中させていただいたスタッフの方々に心から感謝いたします。まだまだ「OKINA」は向上できる作品。また何年後かに三人でやってみたい。そして、皆さまに成長した姿をお見せしたいです。

「弱法師 花想観」「狂ひそうろふ」と作品の完成度はさらにあがり、最終日に三つの作品がひとつになり「森山開次作品集」の公演が花開きました。私も最後に心から楽しめました。作品全体の評価としては厳しいご意見もあるかもしれませんが、コンテンポラリーダンスの枠を乗り越え、6回公演を実現し最後までやり遂げた森山さんは素晴らしいと思います。また素敵な音楽家と繋がったのは幸せでした。今後もご一緒する機会がきっとあると思います。楽しみです。津村さんはさらにパワーアップしていて嬉しかったです。夏が大好きという津村さん。毎年、夏に津村さんが佐渡で能舞台の公演をされているのですが、今年こそは遊びに行こうと思っています。録音の旅にしたいと思います。

新国立劇場は2003年に永谷亜紀さんとの作品「the edge」ではじめて参加させていただきましたが、この時はライブパフォーマンスではなく、私の音をCDで奏でていただきました。同じく2003年に森山開次さんとはじめての作品「弱法師」。この時から客席の後ろでラップトップによるライブ演奏を実現させていただきました。本公演では他に7団体も出演していました。次に2004年に作品「OKINA」。森山さんにとっても私にとっても代表作となりました。この時は3団体が出演。そして2005年の作品「いぶき~奇蹟の大地~」。森山さんも私も苦しみましたがとても学ぶべきことが多かった作品です。この公演ではTaguchiのスピーカーも導入していただき奏でました。他に1団体が出演。そして今回の「森山開次作品集」。ご一緒に地道に積み上げてきた森山さんの単独公演。感慨深いです。この公演に参加でき嬉しかったです。森山さんとは2006年に劇場でも販売していたDVDの作品「KATANA」(N.Y、青山スパイラルホール、名古屋、大阪、広島、札幌)もありますが、またいつか新しい作品をつくりたいです。その日まで自身を高めていきたいと思います。

「森山開次作品集」。多くの方に体感していただき感謝しています。また、皆さんとお会いできるのを心から楽しみにしています。今後も厳しく見守ってください。どうぞよろしくお願いいたします。

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私はいま3月の発表する新作「百葉窓」の音つくりに集中しています。また、ぜひ音に触れてください。



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2009年02月16日

14日。「森山開次作品集」五日目。今日こそは楽しもう(毎回、この緊張感を楽しんでいるが…)と心にちかう。いつも舞台(演奏する客席の後ろ)に向かう前に森山さんの楽屋に行き「sw」を交わす。津村さんはいつも笑顔で迎えてくれる。

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オープニング。今日は森山さんのリズムがいい。音もムーブメントと明かり、会場全体を感じて音の空気感を奏でられる。出だしはとてもいい。前半から中盤にかけてサイドの8本のスピーカーを、これまでとは異なる演奏で無音ではない無音感をつくることができる。中間は音で森山さんの踊りが大きく影響を受けるので、間延びしないように攻めては引き、引いては攻めると豊かに表現する。今日の森山さんの身体は軽く調子がよさそうだ。津村さんは地に根付く力強さをずっと維持している。

私の音も舞台上に天井のモノラルスピーカーによって不可視の身体を存在させる。河田さんのプラニングはほんとうに面白い。いい時間軸で一気に後半に入る。これまでなかなか思い描くように奏でられなかった作品にとって大切な音を、メインとサイドのスピーカーをコントロールして音のテクスチャ、音のエネルギー感を感じさせることができた。そして、森山さんと津村さんを最後の音空間へと導く。劇場入りしてから苦しみ時間がかかりましたが、公演5日目にしてやっと「OKINA」は花開きました。

「弱法師 花想観」は日に日によくなっている。ちょっと胸が熱くなる瞬間も味わった。終演後の笠松さんの満足気な笑顔がすべてを物語る。一緒になって喜ぶ。「狂ひそうろふ」がはじまる前に音楽家のCDを販売しているスペースにいく。今回も多くの方にCD「vision in black」「sketch 2006」をお求めになっていただき感謝しています。皆さまからの感想を心からお待ちしております。よろしくお願いいたします。

「狂ひそうろふ」。最後の舞台挨拶のために、私も笠松さんも木ノ脇さんもいったん楽屋に戻りホッと肩の力を抜き(皆、2作品が終わると魂が抜けたようになる)、舞台袖に行き「狂ひそうろふ」を見守る。皆で森山さんと一緒に舞う。舞台袖には津村さんもいる。最後は津村さんの謡いで包まれる。明日は千秋楽。心静かに耳を澄まして奏でたいと思う。

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2009年02月14日

11日。「森山開次作品集」三日目。初日、二日目と音の質感を感じさせるような繊細な演奏ができていないので、今日は静かな力強さに徹しようと思う。

本番。私の音があまりにも繊細過ぎて皮膚を引っかくぐらいにしか奏でられず、前半と後半のムーブメントが間延びしてしまった。森山さんと津村さんも3日目ということで疲れもあったのだと思うが、そんな時こそ音がふたりに寄り添い戦いエネルギーを与えなくてはいけない。本番を数多く経験しているが何度やっても学ぶことばかり。3日目にしても「OKINA」は花開かず。

公演後に「狂ひそうろふ」の衣裳を担当している甲斐さやかさんから、いつもの磁場をねじ曲げるようなエネルギーがなく物足りなさを感じたが、これはこれで静かに身体に染み渡る音が心地よかったと言ってくれた。また、いつも厳しくそして応援してくれている舞踊研究・評論の國吉和子さんから「沈黙、無音との戦いだった」と笑って言っていただける。最後の音は今日が一番良かったが、「OKINA」は拍手が出来ないぐらいの空気感で終わりたいです。明日は中休みですが明後日まで集中力を切らさず迎えたい。

今日の「弱法師 花想観」は時間もコンパクトになり一番の出来だった。特に木ノ脇さんのフルートと加賀谷香さんの舞の呼吸が絶妙で素晴らしかった。笠松さんも興奮していた。「狂ひそうろふ」はYAS-KAZさんとセネガルの四人の関係が少しずつ見えてきた。明後日からが楽しみです。


13日。「森山開次作品集」四日目。劇場入りしてゲネ、本番3公演が終わりいろいろご意見いただきながらやってきましたが、今日は森山さんと津村さん、そして作品に集中して自分らしく音を奏でたいと思う。

本番。前半から中盤にかけてとてもいい感触で奏でる。森山さんの身体。津村さんの身体を身近に感じる。後半はとても時間がかかった。音がもっと攻めていいと感じる。あと2割…1割ボリューム感があればもっと作品全体が締まると思う。まだ、余裕がないので楽しめるところまでにはいっていないが明日はやっと楽しめそうだ。

今日は私のCDジャケット、project suaraやON-COO Projectのアートディレクションの三浦秀彦さんが観に来てくれた。4年前の「OKINA」も観ているので音に集中してくれたとのこと。ボリューム感は問題ないのだがここぞというところで音を掴み取ることができず、これはスピーカーの特性なのかもしれないと…。私にとってアウトプット(音響システム=スピーカー)は楽器である。確かに私の音に大切な中域は厳しいと思うが、今回は私の音のためにとてもいいプラニングなので、何とか演奏でメリハリをつけて音の質感を感じさせたい。明日の課題です。

音楽家の楽屋はとてもいい雰囲気です。三つの作品をひとつの作品にしたいと思います。

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9日。「森山開次作品集」初日。「OKINA」オープニング。森山さんの姿がなかなか浮かびあがらない。前半。かなりじっくりしたムーブメントでいつも以上に時間がかかる。明かりの影響か…オープニングはゲネよりも暗かった。音は展開がつくれず時間軸が乱れる。中盤、立ち直そうとするが音の繊細さがなくなり後半に入ってしまう。一度、バランスが崩れると作品自体の強度感もなくなる。初日にガツンとやられる。

「SW」は忘れなかったが…音の問題があった。原因を追究したい。初日を楽しみにしてくれていた多くのお客さまはもちろん、舞踊評論家の石井達朗さんや青山・青山円形劇場の小野晋司さんが観に来てくれていたのに…。公演後、たくさんの方に「OKINA」は揺るぎないいい作品と言っていただけましたが四年間の成長を見せることができず悔しいです。明日のためにあらためて気持ちを切り替えたいと思う。「弱法師 花想観」は木ノ脇さんがあげてきた。「狂ひそうろふ」はセネガルの4人が少しずつ環境に慣れてきた感じ。しかし、「OKINA」で空気感をつくらないと後の作品に響いてしまう。集中したい。


10日。「森山開次作品集」二日目。昨日、問題のあった音を明け方までかかり原因を追究し…見つけた。音素材をすべて書き出し再構築。余計なファイルはすべて削除してコンパクトにまとめる。何度も何度もシュミレーションして万全の体制で臨めるようにする。これが初日にできていたら何の問題もなかった。大いに反省。まだまだ甘い。

「OKINA」本番。オープニングの明かりはゲネのものに戻りホッとする。全体的に少し慎重になり過ぎ空気をあやつるまでにはいけなかった。森山さんと津村さんと三位一体になれた瞬間もあったが、理想の「OKINA」にはほど遠い。通しリハーサルや総見、ゲネを観てくれた方からはいつもの繊細さが消えたという意見も…厳しく見守っていただけてありがたいことです。今日は父と母も観に来てくれた。とても嬉しい。また、演奏中は隣にさとうじゅんこ、河田さん、そして、笠松泰洋さんがいてくれて心強い。皆の思いを大切にしたい。明日はこの2日間できなかったことに挑みたいと思う。

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2009年02月13日

8日。「森山開次作品集」のゲネプロ。ゲネプロの前にサウンドチェック。マルチトラックで奏でる。河田さんとさとうじゅんこと音つくり。マルチですがしっかりしたビジョンがありシンプルなプラニングなので音はブレない。天井にセッティングしたモノラルのスピーカーが舞台に不可視の身体として強く存在する。面白い。昨日は物足りないかなと思った低域も劇場に合わせた周波数域でつくりなおしとてもいい感じ。サイドのスピーカーはひとつの音だけで使おうと思っていましたが、ゲネでは3つの音を試してみることにしました。

ゲネプロ。次々と人が集まり200人近く入る。こんなゲネははじめて。もう一ヶ月以上も前からチケットは完売だったので、まだ公演数を増やせるのでは思うが…身体が持たないかな?次は中劇場…。本番さながらのゲネになりさらに集中する。劇場での「OKINA」。少し手応えを感じる。ただサイドのスピーカーは多用すると効果がなくなると思う。少し音が強いかなと感じたところも、いつも手厳しい写真家の森田拾史郎さんが「攻めるところは攻めていてよかった」「四年間の成長を見た」と言ってくれた。2004年の初演では辛口だったので少しホッとする。いろいろな意見があると思うが、森山さんと津村さんのパフォーマンスと戦いながらも調和できたと感じる。明日は初日。「SW」で奏でたい。「弱法師 花想観」も「狂ひそうろふ」も本番に向けて仕上げてきた。三つの作品でひとつの作品をつくりあげたいと思う。

今日は本番を観ることができなくて、どうしても観て欲しい人に来ていただきましたが、ベルリンでプロのダンサーとして活躍している陽かよ子さんに体感していただけたのは嬉しかった。数年ぶりにお会いしましたが…いつかご一緒に作品をつりたいです。いまの陽さんのムーブメントがどのように変わったのかわかりませんが、繋ぎめを感じさせない美しい軌道は、さとうじゅんこのvoiceとも面白いと思う。楽しみです。

すでに公演は半分の3公演を終えました。チケットは完売ですが当日のキャンセル、当日券、Z席の販売もあります。詳細は下記です。

<当日券>
(1)Z席:必ず用意しています
(2)A席、B席:当日残席があれば販売します
※(1)と(2)で発売方法が若干違います
(3)キャンセル待ち

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(1)【Z席】
当日券としてZ席(1,500円)を用意しています。
販売場所:ボックスオフィスとチケットぴあ限定5店舗(下記)にて
● 新宿/伊勢丹会館 B1F(水曜不定休)
● 渋谷/ちけっとぽーと渋谷109店 2F(無休)
● 池袋/東武百貨店池袋店プラザ5F 11番地(水曜不定休)
● 横浜/ルミネ横浜 1F(無休)
● 有楽町/東京国際フォーラム・チケットセンター(無休)
発売開始時間:公演当日の朝10時より
おひとり様1枚。電話予約不可。

(2)【A席、B席】
残席がある場合のみ。
販売場所:ボックスオフィスとチケットぴあ全国各店舗(ファミリーマート/サークルK・サンクス)
※電話予約はボックスオフィスのみ受付(クレジット決済のみ)
発売開始時間:公演当日の朝10時より

(3)キャンセル待ち
残席が無くなった時点でキャンセル待ちとなります。
劇場メインエントランス内に列を作ってお待ちいただきます。
発売は開演30分前より。
※小劇場は、地下1階池脇から直接お入りいただく入口もありますが、こちらではなく劇場メインエントランス内でお待ちいただきます(池脇入口にも案内が出ているので間違いはないかと思います)。

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皆さまと会場でお会いできるのを楽しみにしています。

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