2006年09月06日

3日。青山スパイラルホールでの『KATANA』東京公演の最終日。会場入りしてすぐにサウンドチェック。毎日、音の質感は変わる。音響システムは生きもの。生楽器です。気温や湿気など微妙な変化に敏感です。また、会場にお客さんが入ると、空間の密度が変わり音も吸収される。それらを音響家の重信さんと一緒に見極めながらライブ演奏する。今後、全国ツアーで会場が変わっていきますが、すべての会場でプラニングを変え、一から音つくりをしなくてはいけません。限られた時間のなか大変ですがとても楽しみです。

昨日も公演中にお客さんが倒れてしまいました。1時間、はじめから終わりまで息つく暇もない作品。演目も演目だけにお払いをすることにしました。手作りの祭壇をつくり、皆で開場前に、無事公演が終わりますようにとお祈りをする。皆の気持ちがひとつになるとてもいい瞬間だった。いつものように開演20分前に控え室から会場に向かう前に、森山さんの控え室にさとうじゅんこと顔を出す。「SW」「MF」と言葉を交わして、次は舞台上で会う。

本番。暗闇のなかに森山さんが浮かぶ。私の奏でる音のエネルギーに負けじとバランスを取る。通常、暗いところでバランスを取るのは難しい。また、私の音は波動が生まれ空気が動くのでより条件は厳しくなる。森山さんはいつも真っ暗なところでバランスを取り、目を閉じて踊っているとのこと。日々のトレーニング(鍛錬?)がなければ、森山さんのようなパフォーマンスはできない。踊りのなかに日常が見える。美しい。

前半は音と踊りのエネルギー感で一気に持っていく。中間部分は音でガラリと質感を変える。森山さんは自分と向き合う時間になる。謡いはさらに音場がよくなる。公演後、お客さんに「津村さんの控え室はどこですか?」と聞かれたという。これはほんとうに嬉しかった。今日は重信さんが新開発のアンビエントスピーカーに、少し角度をつけて立たせました。少しの差で音場は変わる。後半に向けて、森山さんの踊りはますます研ぎ澄まされていく。音もよりエネルギー感を増す。終演。力が抜ける。少しだけほっとする瞬間。

カーテンコール。スタンディングオベーション。鳴り止まない拍手。この強度ある作品をしっかり感じていただけたのだと思う。子供も何人か観に来ていましたが、皆、静かに作品に集中していた。とても嬉しい。「からだであそぼ」を見ている子供たちは、いったい何を感じていたのだろうか…。しばらくボーとしていると、デザイナーの玉木さんがガッチリ握手を求めてきてくれた。

東京での最終日はCDもたくさん買っていただけました。ありがとうございました。CD制作でプレスをお願いした会社の担当者・山崎さんも観に来てくれる。また、TOWER RECORDSの池田さんにも体感していただけました。はじめての音の経験で、とても楽しめたとのこと。そして、公演前には公演を観に来れなかった、ヨガのインストラクターの佐久間さんがわざわざCDを買いに来てくれた。全国ツアーから帰って来ましたら、CDの店頭販売を展開していきたいと思う。今回、入手できなかった方は楽しみにしていて下さい。よろしくお願いします。

機材の搬出が終わり、スパイラルのエントランスで小さな乾杯をする。あっという間の4日間だった。3日間ボランティアスタッフとして活躍してくれた方々に感謝を述べ、全国ツアーに向け、皆であらためて気を引き締める。これで森山さんも少しは眠れるだろう。私も心と身体を整理して、さらに音を磨きたいと思う。6日は朝から移動して名古屋に入り本番。とても楽しみです。名古屋の方々、楽しみにしていて下さい。

at 03:28│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

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