2006年09月20日
12日。関西国際空港。さとうじゅんこと音響家の重信さんとたこ焼きを食べて大阪とお別れをする。大阪から北海道に出発。夕方、十数年ぶりに札幌に到着。空気が澄んで気持ちいい。映像作家の千田さんと落ち合い、さっそく会場の札幌市教育文化会館小ホールに向かう。すでに森山さん、杉本さん、東海林さん、橋爪さんが会場入りしている。疲れを見せず笑顔で迎えてくれる。会場のキャパは350人ぐらい。劇場らしいコンサートホール空間。舞台も広く、次のステップのためにもいい経験になると感じる。ただ、本公演のみTaguchiの音響システムを導入できない。音を奏でるまではとても不安だが、今後、海外公演などがあった場合は、今回のようなケースもあるだろう。ある意味これは大きなチャンスを与えてもらったと思う…が、私にとって楽器である音響システムを、いつでもどこでも持ち運べるようにしなくてはいけない。そのためにもっともっといい活動をしていかなくてはいけないと思う。
重信さんが劇場の音響担当者、杉本さんは地元の照明家にご協力いただきセッティング。各地のスタッフのご協力に感謝します。会場つくりが順調に進む。夜、本日の会場つくり終了後、札幌公演でお世話になっている嶋さんに、美味しいジンギスカンのお店に連れて行っていただく。皆で、明日の公演に向けてパワーをつけるのだ。連日、皆は元気にモリモリ食べている。森山さんも調子がいいようだ。このツアーでは、出演者もスタッフも劇場の外に出ると、心を解放して楽しい時間を共に過ごしている。森山さんとはリハーサルや本番では戦っているので、こんなにリラックスしてお話しをしたのははじめて。しかし、仲良くなっても、皆は劇場に入ると集中する。今回、とてもいい関係がつくれたと思っている。明日は『KATANA』の全国ツアーの最終公演です。
13日。いよいよ最後の公演。昼に会場入りすると、舞台つくりが進んでいて、照明のチェックがはじまっている。明かりつくりを観ながら、会場全体の空間を身体で感じる。本公演も客席の真中の一番後ろから音を奏でる。森山さん、お客さん、劇場全体の空気感を感じて音を奏でる。照明つくりが終わりサウンドチェック。劇場の音響システムで音を奏でながら、重信さんが私の音に合わせてチューニングの設定を変えていく。ここのスピーカーでは50Hzや64Hzの低域のテクスチャが再現できない。ここのホール用に低域を探る。この建物は80Hzの周波数が共振する。80Hzと160Hzの低域を上限にそれぞれ別トラックで抽出し、パンを振って建物が揺れる音をつくる。中高域も音の粒を再現できないので、天井に斜めにセッティングされているセンタースピーカーを使うことにする。なかなかイメージしている音が奏でられないが、重信さんも粘り強く、このシステムの限界まで音つくりをしてくれる。津村さんの謡いは、これまでTaguchiスピーカーでは、まるで、そこに津村さんが存在し、謡っているような音つくりをしてきましたが、今回はそれができない。さとうじゅんこのアドバイスで、後半に向けては巨人が舞い降りてきたような音つくりをすることにした。札幌バージョンです。時間はいくらあっても足りないが、いま出来る最高の音つくりができた。自信をもって音を奏でたいと思う。
本番前に楽屋で集中していると、本作品の謡い手である、能楽師の津村禮次郎さんがひょっこり顔を出してくれる。最終公演を東京から観に来てくれたのだ。相変わらず素敵な立ち居振る舞いを感じて、より気が引き締まる。本番直前に森山さんと「SW」と合言葉を交わして劇場に向かう。客席には向かいの劇場でマッスルミュージカルの公演を終えた、森山さんのお兄さんの姿も見える。津村さんとはアイコンタクト。本番。今日は森山さんが少し遠く感じるが、しっかりその空気感を感じることができる。音を奏でながら音つくりをする。今日はシステムが変わったので、慎重かつ大胆に攻める。森山さんも勝手が違うようだが、最後のパフォーマンスで魅せてくれた。東海林さんの椿と雪、杉本さんのラストの照明は美しかった。
最終公演。いろいろな意味でハードルが高かったが、次に繋がるいい公演になった。そして、とても貴重な経験をさせていただいた。カーテンコールで森山さんと握手。これが最後かと思う。袖に引き上げて、津村さんとも握手。「作品はどうでしたか?」と聞く。全体を通して音、踊り、演出について語ってくれる。津村さんは東京~大阪公演中は北欧で公演をされていたので、これが最初で最後の舞台を観てもらったことになる。Taguchiスピーカーで音を聴いていただけなかったので残念。作品全体を厳しく感じていただき嬉しかった。また本公演には札幌の知人にも観ていただけた。少しは成長した姿を感じていただけたかな…。
公演後に、また嶋さんが素敵なお店に連れて行ってくれる。全国ツアーが無事終わったので皆で乾杯をする。それぞれ晴々した顔をしている。森山さんもほっとした感じでやさしい笑顔。札幌公演は音響システムを導入できなかったので、残念な気持ちと学ばさせていただいたという気持ちが交錯していました。津村さんに「海外公演のためにいい経験ができた」と話すと、「やはり、一番大切にしているものは、海外でも実現させないといけないね」と話してくれた。その通りだと思う。さらに上を目指したいです。音を奏でることに集中させてもらった、さとうじゅんこと重信さん、そして、Taguchiに心から感謝します。
公演の評が朝日新聞や読売新聞で掲載されていました。名古屋、広島、大阪、北海道の新聞でも掲載されたのでしょうか?読まれた方は教えてください。また、お客さんからアンケートで多くの感想をいただきました。これだけアンケートの回収率が高い公演ははじめてです。今後の活動の参考にさせていただきます。ありがとうございました。また、私の新作CD『sketch 2006』もCD離れが進むいま、多くの方に求めていただき、心から感謝しています。CDをお聴きになった方、ご感想、ご意見等をこちらに送っていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。楽しみにしています。なお、店頭や通信での販売は10月下旬を予定しています。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
『KATANA』は私にとっても森山さんにとっても転機となる作品になりました。また、この機会にCDを発表させていただいたのは、次の音に向かうためでもありました。作品『KATANA』でもその断片を奏でましたが、公演後は北海道の空気感をフィールドレコーディングして旅をしたいと思っています。今後の音にご期待下さい。
次は森山さんや全国ツアーのメンバーといつ会えるのだろうか?それぞれがすでに新しいことにチャレンジしている。私もCDのプロモーションを兼ねてライブ活動をしたいと思っている。また、11月のダンストリエンナーレ TOKYO 2006において、クナウカの美加理さんと公演する新しい作品つくりも進めます。次の公演ではTaguchiや重信さんにご協力いただき、ステレオではなく4ch(5.1chや4.1chではない)の作品を発表できればと思う。さらに、甲斐さやかさんとの映像作品、Taguchiの田口さんが展開しているZAIMでのON-COOプロジェクト(音響空間研究会)にも参加したい。皆で成長して、また作品でご一緒したい。今後の展開がとても楽しみです。
重信さんが劇場の音響担当者、杉本さんは地元の照明家にご協力いただきセッティング。各地のスタッフのご協力に感謝します。会場つくりが順調に進む。夜、本日の会場つくり終了後、札幌公演でお世話になっている嶋さんに、美味しいジンギスカンのお店に連れて行っていただく。皆で、明日の公演に向けてパワーをつけるのだ。連日、皆は元気にモリモリ食べている。森山さんも調子がいいようだ。このツアーでは、出演者もスタッフも劇場の外に出ると、心を解放して楽しい時間を共に過ごしている。森山さんとはリハーサルや本番では戦っているので、こんなにリラックスしてお話しをしたのははじめて。しかし、仲良くなっても、皆は劇場に入ると集中する。今回、とてもいい関係がつくれたと思っている。明日は『KATANA』の全国ツアーの最終公演です。
13日。いよいよ最後の公演。昼に会場入りすると、舞台つくりが進んでいて、照明のチェックがはじまっている。明かりつくりを観ながら、会場全体の空間を身体で感じる。本公演も客席の真中の一番後ろから音を奏でる。森山さん、お客さん、劇場全体の空気感を感じて音を奏でる。照明つくりが終わりサウンドチェック。劇場の音響システムで音を奏でながら、重信さんが私の音に合わせてチューニングの設定を変えていく。ここのスピーカーでは50Hzや64Hzの低域のテクスチャが再現できない。ここのホール用に低域を探る。この建物は80Hzの周波数が共振する。80Hzと160Hzの低域を上限にそれぞれ別トラックで抽出し、パンを振って建物が揺れる音をつくる。中高域も音の粒を再現できないので、天井に斜めにセッティングされているセンタースピーカーを使うことにする。なかなかイメージしている音が奏でられないが、重信さんも粘り強く、このシステムの限界まで音つくりをしてくれる。津村さんの謡いは、これまでTaguchiスピーカーでは、まるで、そこに津村さんが存在し、謡っているような音つくりをしてきましたが、今回はそれができない。さとうじゅんこのアドバイスで、後半に向けては巨人が舞い降りてきたような音つくりをすることにした。札幌バージョンです。時間はいくらあっても足りないが、いま出来る最高の音つくりができた。自信をもって音を奏でたいと思う。
本番前に楽屋で集中していると、本作品の謡い手である、能楽師の津村禮次郎さんがひょっこり顔を出してくれる。最終公演を東京から観に来てくれたのだ。相変わらず素敵な立ち居振る舞いを感じて、より気が引き締まる。本番直前に森山さんと「SW」と合言葉を交わして劇場に向かう。客席には向かいの劇場でマッスルミュージカルの公演を終えた、森山さんのお兄さんの姿も見える。津村さんとはアイコンタクト。本番。今日は森山さんが少し遠く感じるが、しっかりその空気感を感じることができる。音を奏でながら音つくりをする。今日はシステムが変わったので、慎重かつ大胆に攻める。森山さんも勝手が違うようだが、最後のパフォーマンスで魅せてくれた。東海林さんの椿と雪、杉本さんのラストの照明は美しかった。
最終公演。いろいろな意味でハードルが高かったが、次に繋がるいい公演になった。そして、とても貴重な経験をさせていただいた。カーテンコールで森山さんと握手。これが最後かと思う。袖に引き上げて、津村さんとも握手。「作品はどうでしたか?」と聞く。全体を通して音、踊り、演出について語ってくれる。津村さんは東京~大阪公演中は北欧で公演をされていたので、これが最初で最後の舞台を観てもらったことになる。Taguchiスピーカーで音を聴いていただけなかったので残念。作品全体を厳しく感じていただき嬉しかった。また本公演には札幌の知人にも観ていただけた。少しは成長した姿を感じていただけたかな…。
公演後に、また嶋さんが素敵なお店に連れて行ってくれる。全国ツアーが無事終わったので皆で乾杯をする。それぞれ晴々した顔をしている。森山さんもほっとした感じでやさしい笑顔。札幌公演は音響システムを導入できなかったので、残念な気持ちと学ばさせていただいたという気持ちが交錯していました。津村さんに「海外公演のためにいい経験ができた」と話すと、「やはり、一番大切にしているものは、海外でも実現させないといけないね」と話してくれた。その通りだと思う。さらに上を目指したいです。音を奏でることに集中させてもらった、さとうじゅんこと重信さん、そして、Taguchiに心から感謝します。
公演の評が朝日新聞や読売新聞で掲載されていました。名古屋、広島、大阪、北海道の新聞でも掲載されたのでしょうか?読まれた方は教えてください。また、お客さんからアンケートで多くの感想をいただきました。これだけアンケートの回収率が高い公演ははじめてです。今後の活動の参考にさせていただきます。ありがとうございました。また、私の新作CD『sketch 2006』もCD離れが進むいま、多くの方に求めていただき、心から感謝しています。CDをお聴きになった方、ご感想、ご意見等をこちらに送っていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。楽しみにしています。なお、店頭や通信での販売は10月下旬を予定しています。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
『KATANA』は私にとっても森山さんにとっても転機となる作品になりました。また、この機会にCDを発表させていただいたのは、次の音に向かうためでもありました。作品『KATANA』でもその断片を奏でましたが、公演後は北海道の空気感をフィールドレコーディングして旅をしたいと思っています。今後の音にご期待下さい。
次は森山さんや全国ツアーのメンバーといつ会えるのだろうか?それぞれがすでに新しいことにチャレンジしている。私もCDのプロモーションを兼ねてライブ活動をしたいと思っている。また、11月のダンストリエンナーレ TOKYO 2006において、クナウカの美加理さんと公演する新しい作品つくりも進めます。次の公演ではTaguchiや重信さんにご協力いただき、ステレオではなく4ch(5.1chや4.1chではない)の作品を発表できればと思う。さらに、甲斐さやかさんとの映像作品、Taguchiの田口さんが展開しているZAIMでのON-COOプロジェクト(音響空間研究会)にも参加したい。皆で成長して、また作品でご一緒したい。今後の展開がとても楽しみです。
トラックバックURL
この記事へのコメント
1. Posted by shinobu 2006年09月20日 12:10
お疲れさま
森山さんのお兄さんがマッスルミュージカルに出ていたというのが、面白い
森山さんのトーク、先日もそれからトップランナーもとってもよかった
シャイながらいいたいことをわかりやすく相手に伝えるということが素晴らしかった
舞台評はしばらくしたらまとめてhpでアップします
森山さんのお兄さんがマッスルミュージカルに出ていたというのが、面白い
森山さんのトーク、先日もそれからトップランナーもとってもよかった
シャイながらいいたいことをわかりやすく相手に伝えるということが素晴らしかった
舞台評はしばらくしたらまとめてhpでアップします
2. Posted by go taneda 2006年09月21日 23:36
志賀さん。ありがとうございます。
それぞれの土地の空気感を存分に楽しみ公演しました。
しかし、音響システムを導入できなかった札幌公演を終えて、
どれだけTaguchiにご協力いただいていたのかを思い知らされました。
とてもいい経験ができました。少しずつ成長していきたいと思います。
舞台評、楽しみにしています。
それぞれの土地の空気感を存分に楽しみ公演しました。
しかし、音響システムを導入できなかった札幌公演を終えて、
どれだけTaguchiにご協力いただいていたのかを思い知らされました。
とてもいい経験ができました。少しずつ成長していきたいと思います。
舞台評、楽しみにしています。