2007年03月28日

21日。横浜界隈のZAIMにて、sound+dance+visual vol.9『蛹』chrysalis公演の本番。前日はZAIMから徒歩数分のホテルに泊まり、朝は大阪から観に来てくれた父母と優雅に朝食と珈琲を楽しむ。もうここまで来たらジタバタしない…が、昼前に会場入りして、サウンドチェックの前に、さとうじゅんことマノハラの久保田さんと会場つくりに追われる。今回は直前まで能美健志さんの『ビオトープ』公演に参加していたので、会場つくりなどを手伝っていただくスタッフに声をかける時間がなかった。前回は横浜美術館のグランドギャラリーでの公演だったので、規模も大きくスタッフは必須でした。今回は2回公演にして1回の規模を小さくしたので大丈夫だと思っていたが、公演前に集中する時間がほとんどなく、やはりスタッフは必要と痛感しました。一人何役もできない。今回は打合せから参加していただいた久保田さんに感謝です。また当日に無理を言って手伝っていただいたパパタラフマラの制作の山本さんにも感謝しています。我々の活動に賛同していただき、制作のお仕事に興味のある方はぜひご連絡ください。ご一緒に活動していきましょう。

サウンドチャック後に通しリハーサル。シンフォキャンパスと4.1chスーパーマルチのデュアルサウンドシステムのバランスがとてもいい(ほんとうに贅沢だ)!これまでON-COOで積み上げてきた成果を、公演として発揮できるのです。宮本さんと重信さんのモチベーションの高さに刺激される。歌も踊りもリハーサルを重ねるたびに良くなっていく。それぞれで音、声、美術、明かり、踊りを感じられると作品はさらに高まってくる。本番が待ち遠しい。

16時。昼の公演。当初、私は宮本さんと重信さんのPA(卓)の間で演奏する予定でしたが、本番前日のリハーサル時にまったく音場を感じることができず、舞台の真中で奏でることになりました。前半の細かい質感を味わう具象音も、肌に触れるように感じられる。この天井が低く難しい音場でも残響が心地いい。宮本さんと重信さんと一緒に演奏しているのを感じる。歌い手の四人に投げかけるように気配音を奏でると、さかいさんの囁くような声がさとうと岡山さんの祈りを呼ぶ。岡山さんのどこまでも深い歌声は大地と会話していうようだ。私が青銅の音色を奏でると、さとうのたゆたうような歌声が心に届く。美しい時。そこに質の異なる麻耶さんの歌が存在感を示す。さかいさんは顔を出しては引く小さな波のよう。シンフォキャンパスで描かれる音は、すべてをやさしく静かに包み込む。宮本さんの音つくりは最高です。さとうがクンダン(太鼓)を奏でる。岡山さんの口琴で空気が震える。麻耶さんの胡弓は歌心。さかいさんの鈴が鳴く。私は特等席で大いに楽しみながら音を奏でている。

さとうの太鼓が激しく掛け声が強くなり、室伏さんを呼び覚ます。室伏さんは小林さんと甲斐さんがつくった産道をゆっくりゆっくりと歩む。私は低域から徐々に中域へと這わせて室伏さんにぶつける。そして、あっという間に終演を迎える。まだまだ続きがあるような…。この会には、音楽家のYAS-KAZさんや、音楽学士の吉田寛さん、舞踏研究・評論家の國吉和子さん、堤広志さん、桜井圭介さんなどなどが観に来てくれました。感想が楽しみです。國吉さんに「なぜ、この場を選んだのか?」とたずねられましたが、公演10日前に窓が塞がれ、壁を新しく真っ白に塗られたことなどを話す。歴史的建造物の文脈がまったくなくなってしまった場。加藤さんの明かりがなかったらどうなっていただろう。演奏しながら加藤さんのじわじわと移り変わる明かりに魅せられていました。夜の公演はさらに深めたい。なお、この会はポートサイドステーションでリアルタイム配信が行われました。観られた(聴かれた)方はいるのかな?

皆で次の会まで集中力を切らすことなく静かに過ごす。夜の会。昼の会の教訓から、オープニングの音を奏でるまでの時間を短くする。歌い手の四人の集中力はますます研ぎ澄まされていく。パフォーマンスを重ねるたびに作品が深まるのを感じた。特に四人の歌い手とは大きな可能性を感じることができた。室伏さんも音を感じてとうとう弾け、音と声、そして、歌によって生贄となった。「すぐそこに在るのに手で触れことができない空気感」少しでも感じていただけましたら嬉しいです。夜の会にはCD『sketch 2006』を取り扱っていただいているウィ・ディストリビューションの山崎さん、昼の会にも顔を出してくれたYAS-KASさん、日本近代美術思想史研究の宮田徹也さん、舞踊評論家の志賀信夫さん、ダンサーの奥田純子さんなどが観に来てくれた。こちらも感想が楽しみです。そして、嬉しかったのは、作品『ビオトープ』のメンバー(能美さん、軽部さん、川口知美さん、michiさん、川口真人さん)が全員駆けつけてくれたことでした。また、sound+dance+visualのvol.1、2、3で共演した新堀孝明さん(お話しはできませんでしたが…)、sound+dance+visualのvol.4、5で共演した田中孝さんなども観に来てくれました。また、ご一緒したいです。

一瞬にして過ぎ去った一日でしたが、確かな手ごたえを感じて『蛹』公演を終えることができました。このような機会を与えてくれた横浜市、ZAIM、ON-COO-PROTOCOL、そして、Taguchiに感謝します。また、楽しみながら素晴らしい歌声を聴かせてくれたさかいさん、麻耶さん、岡山さん、衣装で苦しみながら戦った小林さんと甲斐さん、耳を傾け感じてくれた室伏さん、作品を客観的に見つめ空間を切り取ってくれた加藤さん、妥協のない音つくりをしてくれた宮本さんと重信さん、静かに見守ってくれていた三浦秀彦さん、大きく包み込んでくれた田口さん、そして、さとうじゅんこに心から感謝いたします。また、たくさんのご来場をありがとうございました。今後、作品『蛹』を多くの方に感じていただくためにも、私たち自身が楽しむためにも、さらに音を作品を磨き、あらたに公演していきたいと思います。また、私の音と歌い手の四人とのライブ活動も同時に進めていきたいと思っています。今後の新しい展開を楽しみにしていて下さい。そして、厳しく見守ってください。

今回はイタリア公演から帰国後に動きはじめたので、広報など課題がたくさん残りました。今後の活動に生かしていきたいと思います。なお、夜の会は、テレビ神奈川(tvk)に収録をしていただきました。公演後には私とさとうじゅんこ、そして、室伏鴻さんのインタビュー(一人ずつ)もやっていただきました。今後、放映(配信)していただけるそうなのでお知らせさせていただきます。

今後もproject suaraをよろしくお願いいたします。



at 02:24│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

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