2007年05月06日

4月28日。三宅流さんの新作ドキュメンタリー映画のために、千葉の京成新大久保駅から徒歩10分の萩舞台に伺う。本日、収録するのは観世流能楽師の中所宜夫さんと鈴木啓吾氏のシテ方2人と、笛の松田弘之さんによる創作能『光の素足』(原作:宮沢賢治)です。三宅さんの新作は12月頃に愛知芸術文化センターで上映予定です。私はこの作品に音で参加させていただきます。

萩舞台は小さいながらもとても素敵な能舞台です。今日の収録日前に、三宅さんと視察に伺っていましたが、ご主人である萩さんのあたたかい人柄に触れ、この日を心待ちにしていました。リハーサルでは、三宅さんをはじめ撮影はレールも引いて準備万全といったところか。私はリハーサルの様子を感じて、当初考えていたプランを変更することにする。さとうじゅんこの案を取り入れながらプランを立てる。アンビエント的に舞台の正面にステレオのコンデンサーマイクを仕込む。もう1本はシテ方の息遣いやすり足、そして、力強い踏み足などの空気感を収録するために、舞台のすぐ斜め横に、真空管のプリアンプを通して、モノラルのコンデンサーマイクをセッティングする。また、予備にハンディーレコーダーでも録音することにした。

本番直前に、謡いや踏み足と、笛のピークをチャックする。笛は思っていた以上にエネルギー感があった。耳で聴くというよりは骨で聴く感じだ。私もこんな音を求めつくっている。それにしても凄いパワーで感動する。いよいよ本番。マノハラの久保田さんも観に来る。皆の気がピンと張り、三宅さんの声ではじまる。謡いの響きは美しく、松田さんの笛は飛び込んでくる。途中、雷も呼び起こしながら、静かな息遣いやすり足もしっかり感じられる。70分の作品が張り詰めた空気感のなかで無事に終る。私とさとうはボリュームを調整しながら録音していたので、じっくり作品を観ることはできませんでしたが、しっかり感じることはできました。録音した音を聴いて、これからつくる音空間をイメージする。とてもいい録音ができた。音編集が楽しみです。

収録後に、萩さんが心のこもったお食事を用意してくれました。楽しい時間。皆さんと繋がって嬉しい。また、ご一緒する日が楽しみです。今後、三宅さんは岩手に長期滞在して、映画つくりに集中するそうです。私も夏の盆供養の儀式の収録には行かせていただきたいと思います。三宅さんの新作を楽しみにしていてください。また、7月20日(金)に国立能楽堂で、中所宣夫能の会による能『光の素足』が開催されます。ぜひ、皆さんにも創作能に触れていただきたいです。

at 03:25│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

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