2007年11月17日

8日。早稲田大学で講義。2日前に今回の講義「感性への問いの現在」の主である吉田寛さんと、テクノロジー評論家の吉田裕一さんに運んでいただいた、Taguchiのスピーカー・VSA1302-tw2とBJ ELECTRICの石河宣彦さんが開発したアンプ・MIT-502、スピーカースタンド。そして、私のスタジオで使用していたVSA1302-tw2と30?ウーファーを、TAを担当してくれた宮崎さん、学生の桂さん、村田さん、WARSZAWA FOURTH FLOORの音響家・宮坂竜太さん、そして、吉田裕一さんに手伝っていただきセッティング。

会場を視察していてよかった。一度、見ていると二度目は小さく感じるもの。横長の教室全体に音が均一に届くように素早くプラニング。アンプはVSA1302-tw2のためにつくらた専用アンプ・MIT-502。このアンプは4ch対応ですが、Taguchiの田口さんから伝授されたケーブルをクロス接続にしてクリアな音質をつくる。宮坂さんの的確なセッティングに助けられながら短い時間で音が奏でられる状態になる。順調です。

高域の音粒を奏で机と椅子の間を歩き回り音場を感じる。次に低域を奏でて全体のバランスを確かめる。VSA1302-tw2だで充分低域の質感は感じられるので、自宅から持ち込んだウーファーは要らない感じだ。要所要所で体感させる時に使うことにする。しかし、この横長の大きな空間に、このシンプルな音響システムで音を奏でることができるのとは、いったいどういうことだろうか…スピーカーはもちろん素晴らしいですが、アンプの素晴らしさに驚かされる。あらためてアンプの大切さを痛感する。

当初、高さの空間をカバーするために、2本のスピーカーを縦に重ねることも考えていたが、机と椅子が前から後ろに向かって高くなっているのが幸いし、スタンドである程度の高さをキープすることで、重ねる必要がなくなった。また、机と椅子が音を遮断してしまうと懸念していましたが、逆に反射板の変わりになって、音が四方から降り注ぐことになった。サウンドチェックを終え、吉田寛さんと軽く講義の進行を打合せる。

授業開始5分前から音粒を奏でる。どんどん学生さんが入ってくるなかで(150人~170人ぐらい)、微な音をどれだけの人が感じられるのかと遊んでみる。「耳を澄まし音を聴く」は私の音つくりのテーマでもある。はじめから気づいている人はいるようでしたが、ハッキリ感じられるほどになると、一番後ろの席に座っている人が、不快なのか耳を押さえている。なかなか素直な反応で逆に好感が持てる。あそこまで聴こえるならと安心もする。

私の自己紹介をする。豊かな楽器としての音響システム、アウトプットを大切にしていることなどを語り、また、音楽の枠に留まらず時空間の舞台表現をしていることを話して、横浜美術館・グランドギャラリーでの作品「セクエンツィア~さひづる庭」の公演映像をダイジェストで見ていただく。

今回は音の空気感がひとつのテーマなので、Taguchiが開発した骨電動スピーカーのために制作した、密度のあるサイン波バイブレーション作品を聴いていただく。その後で、対比となる空気を注ぎ込んだイーオリアン・ハーブのような作品を奏でる。何人かキラキラした瞳で聴いてくれている。次に北海道・旭川の山の上にある「上川神社」で収録した音と、町田市と川崎市に接した「ふるさとの森」で収録した音を聴き比べてもらう。私は空気の透明感を表現したかったのですが、このふたつのフィールドレコーディングの違いを、学生さんに質問してみたところ、求めていた答えがバッチリかえってきた。ひとつの音に焦点を当てることで、遠くの音との遠近法が生まれ、より全体の空気感をとらえることができる。学生さんの答えを聞いて、今日はここに来てよかったと…心から思った。

少ない時間のなかで、できるだけ多くの音作品に触れていただきたいので次々と音を奏でる。音を奏でる時は照明を落としていただく。やはり、耳を澄まして音を感じていただきたかったからです。具象音の作品、今年度にリリース予定の新作CDの断片、3月に開催するシンフォキャンパスコンサート「森のサカナ」のための64ch作品のステレオ版、CD「sketch 2006」のショートバージョンなどなど、私のいろんな顔を出していく。あっという間の1時間半。他にも聴いていただきたい作品がたくさんあったのですが、授業時間を少し超えてしまった。最後は慌しかったのですが、あたたかい拍手をいただきとても嬉しかった。吉田寛さんからはいい講義でしたとお褒めの言葉をいただきホッとする。

学生さんたちに何か一つでも伝わったらな…と思う。このような機会を与えてくれた吉田寛さんに感謝いたします。また、お手伝いいただいた吉田裕一さん、宮崎さん、桂さん、村田さん、そして、宮坂さんに感謝します。自身の音を奏でながら言葉を発することで、自分自身の音を客観的に感じることができ、とても有意義な時間を過ごしました。また、吉田さんのお話しで音の世界観がさらに広がり、このような機会を他でも設けることができたらいいなと思った。ぜひ、何か企画したいと思います。来月は武蔵野美術大学でも講義の予定があります。学生さんに触れられる貴重な時間。とても楽しみです。

講義の後、宮坂さんに手伝っていただき、戸塚にあるTaguchiの事務所にスピーカーとアンプを返却する。ご協力いただいた田口さん、そして、Taguchiに感謝いたします。宮坂さんありがとうございました。その後、渋谷で3月に横浜で開催するシンフォキャンパスコンサート「森のサカナ」の打合せ。私と音響家の宮本さん、デザイナーの三浦さん、そして、映像作家のmichiさんが参加。演出・構成を手がけるさとうじゅんこは参加できませんでしたが、音の構成を軸に、音響家、デザイナー、映像作家の文脈からそれぞれのアイデアを出し合う。作品全体が見えてきてさらに可能性を感じる。いい作品にしたい。

今夜は久しぶりにぐっすり眠れるだろう。

at 02:38│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

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