2006年07月

2006年07月29日

25日。suaraスタジオにて、8月16日麻布ディプラッツで公演する『うろ』の打合せ。ダンサーの神村恵さんと美術の甲斐さやかさんが来てくれる。作品『うろ』は会場であるディプラッツという空間を感じて構想しました。以前から、舞踊評論家の石井達郎さんと麻布のディプラッツはなかなか面白いと話していましたが、先日、舞踏家の室伏鴻さんの公演を観に行った時に、やはり面白いと感じ、会場の特性を掴み、ずっと作品『うろ』の音構成をイメージしていました。そして、前日、一気にまとめました。

音、美術、踊り、それぞれがそれぞれの『うろ』で構成してお互いに投げる。まず音の文脈を時間軸から聴かせていきおふたりに時間で移り変わる空間をイメージしていただく。次に甲斐さんの感じているビジュアルからの『うろ』を話してもらう。衣裳が美術に、美術が衣裳になる。本公演では神村さんの定番となっているTシャツ、ジーンズ姿ではないのでそこも見所です!そして、神村さんの踊りの『うろ』を伝えてもらう。神村さんらしくもあり、新しい何かを求めている動きもある。大きなイメージを持って動きを考えている。音も美術も踊りも、リハーサルを重ねることによって作品を構築していく人たちもいますが、イメージすることが何よりも大切。しかし、イメージするにはそれ相当の技術も経験も必要になる。

私も以前は音を奏でながら磨き、全体の音構成を考えていましたが、技術が高まり、経験を重ねることによって、いつでも欲しい音、空間を獲得することができるようになり、イメージする時間がとても長くなった。そして、一気に音を構築していく。また、可能な限りライヴパフォーマンスで音を奏でるので、本番ギリギリまで、本番中もどんどん音を磨くことができる。これはこれでとても責任を負うことになりますが、より作品を高めることになります。また集中力も比べられないほど高まります。その瞬間、音も美術も踊りも新しい何かが生まれる。これからもこの方向性を大切に、また、その先を見据えて勝負していきたい。そして、ご一緒する人たちとも、この次元でせめぎ合っていきたい。

『うろ』とても面白い作品になります。そこにいる人たちをいろんな空間に連れて行きたい。ぜひ体感しに来て下さい。『うろ』のHPに、sound+dance+visualでご一緒している、三浦秀彦さんがデザインしたフライヤーの画像データを置きました。三浦さんは「密度を増した時に発する熱のようなものを闇のなかに表そう…と」デザインしてくれました。この異色の組み合わせはなかなか観られるものではありません。ぜひお時間つくって観に来て下さい。公演後は私と神村さん、そして、石井達郎さんでアフタートークがあります。お楽しみにして下さい!チケットのご予約お待ちしております。よろしくお願いします。

at 01:06│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

2006年07月27日

24日。武蔵小金井。先日、ライヴパフォーマンスで競演した能楽師・津村禮次郎さん宅の能楽堂に、さとうじゅんこ、森山開次さん、マネージャーの橋爪さん、映像作家の仙田さんと伺う。能楽堂専用の建物。玄関から入ってすぐ能舞台。何だか不思議な感覚。築20年とのことですが、とてもきれいに管理されていました。私と森山さんは足袋を履いて、能舞台に上がらせてもらう。床下は直接コンクリートではないらしく、とてもいい音が鳴り柔らかい。

今日は9月に公演する作品『KATANA』で使う、津村さんの謡いの録音です。Macとオーディオインターフェース、コンデンサーマイクに真空管のマイクプリアンプ、マイクスタンドを持参。さっそく録音の準備をするためセッティング。森山さんが書いた詩を津村さんが謡います。

作品の全体構成、詩の世界観などを話し、リラックスした雰囲気からそのまま録音へ。自然体のまま録音に入れたので、とてもスムーズに進められる。能楽堂は謡いを録音するには最適の響き。何種類かの謡いを録音しましたが、ほとんど1回~2回でOKでした。1回目の謡が終わると森山さんが詩を変えたり、私が声の質感を変えて欲しいとお願いしても、津村さんはすぐ対応して見事に謡う。その類まれな経験と集中力に感動しました。また、さとうじゅんこの音調整でとてもいい録音ができました。橋爪さんの心使い、静かに撮影をしていた仙田さんに感謝します。

森山さんは謡いの時、心から感じ聴いていた。自分で書いた詩は思い入れもあるし、その言葉も津村さんのエネルギーでより強くなる。さぁこの謡いをどう磨き上げるか…とても遣り甲斐がある。これで全体の音構成がほぼ見えてきました。音を仕上げたいと思います。9月に公演する作品『KATANA』を楽しみにしていて下さい。

at 00:29│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

2006年07月26日

20日。初台のTHE DOORSでkaorucu Ex:celのオープニングでライヴパフォーマンス。今日は本番に間に合わないかもしれなかったので、新しい構成のCDを事前に送っていましたが、何とか本番に間に合いました。無理を言ってPAにMacをセッティング。サウンドチェックはできませんでしたが、先月もこの箱で音を奏でているので、演奏中に調整していく。

リハーサルはCDでやってくれていたそうですが、立ち会った甲斐さん(今回、香瑠鼓さんの衣裳を手がけた)や、オフィスルゥの長谷川さん、小杉さんがライヴとの違いに驚いていました。香瑠鼓さんもとても喜んでいました。やはりCDに落とすとレンジが狭くなり空気感がなくなる。人間の聴覚で聴こえない音が空気感をつくる。また会場の空気やパフォーマンスを肌で感じ、そして、システムの状態を見極めて音を奏でるので、その差は歴然となる。いつもできる限り生演奏で音を奏でたいのですがそうにもいかない。今後の課題です。また、kaorucu Ex:celのライヴを見慣れたこともありますが、私のオープニングの後の曲順を再構成する必要があるんでは?と感じました。

会場には先日の『青い月』を観に来てくれた皇元さんや香瑠鼓さんを慕う多くのパフォーマーが来ていました。香瑠鼓さんは業界でお仕事を多くこなしていますが、いつも情熱的な気持ちを忘れていません。慕われる理由が伝わります。ライヴ後にカフェで香瑠鼓さんと甲斐さんとお茶を飲む。優れたパフォーマーがたくさんいるので、彼らにもチャンスを与えてみてはと提案する。香瑠鼓さんもしっかり考えていてTV番組を巻き込んで、今後の展開を構想中でした。いろいろ経験することは大切。何か関われればと思っています。

at 00:21│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

2006年07月20日

16日。UPLINK FACTORY。project suara主催 live installation - sound+dance+visual vol.8 『青い月』公演が無事終了致しました。たくさんのご来場ありがとうございました。本公演でsound+dance+visualも8回目を終えましたが、はじめて作品をやり終えた実感を得ました。私とさとうじゅんこ、小林和史さんと甲斐さやかさんのsoundとvisualが核になって、皆の目指すビジョンがひとつになった感じです。

小林さんと甲斐さんは公演前日の夜から朝4時まで、UPLINKで美術のセッティングをしていました。朝8時頃に会場入りした時にはもうおふたりはいました。会場に入った瞬間…FACTORYが別次元の世界に変わっていました。一日だけの一回公演ではあまりにも惜しいと思いました。おふたりの情熱に心震える。お客さんも立ち見が出るほどだったので、また機会をつくって、この小さい空間での作品『青い月』を公演したいと思います。

しばらくして、本公演のチラシをデザインした三浦秀彦さんが到着して、照明のセッティングを手がけてくれる。コミュニケーションを取って、テクニカルな部分と本番での照明でサポートしてくれました。またオリジナルの照明もつくってきてくれました。相変わらず素敵なデザインで、スタジオで使いたいと申し出る。三浦さんは9月頃にUPLINK GALLERYで展示をします。楽しみです。

また、今回は音響デザイナーの重信芳信さんが参加してくれました。入念なサウンドチェックのあと、スミヤントさん作曲のガムランの曲「マントラ」のリハーサルを行う。重信さんはさとうじゅんこと山川冬樹さんの歌声を聴き、スミヤントさんの太鼓を感じて、車にマイクを取りに行ってくれる。会場の空気感を取り込むのだ。太鼓の節目の拍に合わせて、フェーダーを上げ、会場を共鳴させる。その音つくりを感じて嬉しくなる。UPLINKはとてもデッドな環境なので、リバーブも用意してくれる。本作品での私の音は、よりシンプルに空間を捉える音つくりなので、リバーブ処理をすると低域が分厚くなり、長時間聴くには疲れるので、最後の最後、大地を感じさせる音のみで加えることにする。重信さんとコミュニケーションを積極的に取って音をつくり上げていく。とても楽しい。今後、重信さんとは8月の『うろ』、9月の『KATANA』でもご一緒するので、しっかりいい関係を積み上げていきたいです。今後が楽しみです。

通しリハーサル。木村佳代さん、さかいれいしうさん、樅山智子さんのガムランの音色が美しい。山川さんのホーメイはどこまでも届く歌声。小さな箱にいる感覚を麻痺させる力がある。山川さんの歌声にさとうじゅんこの歌声が絡みつきたゆたう。美しく力強く、そして、やさしい。心に響く歌声。スミヤントさんの素直な祈りを感じる。リアントさんの踊り。私の音を探りながら静かに舞う。この強度。誰も太刀打ちできない。リアントさんは若干24歳。ほんとうなのか…リアントさんの踊りには背景が見える。会場ギリギリまでリハーサル。一度しっかり通せてよかった。

本番。さかいれいしうさんの丁寧な青銅の音色からはじまる。さかいさんは歌い手。とても大切に音を奏でる。歌心が身体に染み付いているさかいさんに、ガムランの演奏に徹していただいてよかったと強く感じる。スミヤントさんが指揮し、木村さんが引っ張り。樅山さんが感じる。とてもいいアンサンブルです。そして、スミヤントさんの祈りが導き、山川さんの歌声が響き渡る。山川さんのソロでホーメイのガラガラ声を聴く。山川さんはいま一番輝いているのではないでしょうか。山川さんの集中力と経験が光る。さとうじゅんこも山川さんとの競演を楽しみながら歌っている。最近のさとうじゅんこの歌声はある境地まで達し、またさらにその上をいこうとしている。その歌声からは無限大のビジョンを感じる。

スミヤントさんの太鼓で、リアントさんが壁から抜け出る。この小さな空間。入ることも出ることもできない空間を見事に切り取った、小林さんと甲斐さんに心から感謝したい。今後もおふたりと一緒に活動していきたいです。リアントさんの人類がもつ身体のポテンシャル、圧倒的な可能性を秘めた身体。生まれた時から大地と会話し、生きるために踊ってきた真実の力。私はリアントさんに出会いに感動しました。もっと多くの方にリアントさんの踊りを感じていただきたいと思う。今後、いろんな機会をつくっていきたい。また最後は、暗転のなか私の音にさとうじゅんこと山川さんが歌い、リアントさんが心の叫び声を上げる。インドネシアの方は滅多なことでは感情を表に出さないのですが、自然に出てしまったとのこと。リアントさんの未知のものを引き出せたのかもしれない。次に繋がるエンディングでした。

私もこれまでとはまったく異なる(見せることがなかった)音を奏でました。たくさん詰まった引出しを徐々に開放していきたいと思います。ご期待下さい。また「マントラ」の祈りの歌で静かに奏でていた低域を、スミヤントさんがとても気に入って喜んでくれた。歌、人を山に還した。

この作品は12月に横浜市の歴史的建造物でヴァージョンアップして公演予定です。今後のお知らせを楽しみにしていて下さい。

今日は通しリハーサルをウィディストリビューションの山崎さん、本番を11月にご一緒するクナウカの美加理さんと衣装デザイナーの高橋佳代さん、振付家の香瑠鼓さんとダンサーの皇元咲人さん、能美健志&ダンステアトロ21のダンサー坂田守さんと長濱加実さん、デザイナーの上浦さん、芸大ガムランクラブの古川さん、新国立劇場の音響家・吉澤さん、パパタラフマラの制作兼、演出家・小池博史さんのマネージャー山本麻紗子さん、舞踊評論家の堤広志さん、山口小夜子さんなどなど多くの方に観に来ていただける。感想が楽しみです。

今回も多くの方に支えられて公演が実現しました。<東京の夏>音楽祭、UPLINK、Taguchiに感謝致します。また、リアントさんのサポートをしてくださった川島未耒さん、スミヤントさんのサポートをしていただいた根津亜矢子さんありがとうございました。確実に次に繋げていきます。また、横浜美術館・グランドギャラリーでも撮影していただいた写真家の中山AMY晶子さんに、今回も撮っていただきました。一枚一枚が絵画のような質感。楽しみです。

公演後に、小林さんのスタジオに舞台美術と衣裳を運ぶ。途中、以前、小林さんさんと甲斐さんから連れて行きたいところがあると言ってくれていた「蛙の水田」に行く。「ふるさとの森」といって蛙の合唱が水田に広がり小さな山もある。0時頃に着いたのですが、雲が月明かりに照らされ緑が深かったです。とてもとても美しくほんとうに空気が美味しかったです。本番前日。四人はほぼ徹夜でしたが、緑あふれる地で深呼吸して心と身体に、また新しいエネルギーが芽生えました。さらに次に向かいたいと思います。

今後もproject suaraをどうぞよろしくお願いします。

e4872d22.jpg

Visual Art Direction 甲斐さやか・小林和史(OutSect)


at 00:14│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │

2006年07月15日

11日。『青い月』のリハーサルを会場のUPLINK FACTORYで行う。さとうじゅんことビジュアルアートデレクションの甲斐さやかさんを中心に、構成、演出等を探る。他に、踊り手のリアントさん、ジャワガムラングループのランバンサリ代表・木村佳代さん、そして、本公演のチラシデザインをした三浦秀彦さんが参加。私の音をCDに落とした(ライブパフォーマンスした音を録音)。CDで音を奏でながらリアントさんが静かに感じ踊る。照明の細かいプランもつくる。この小さな空間を深く深くする。

同じく11日。SHIBUYA-AXに第22回<東京の夏>音楽祭2006の企画「アート・オブ・ブレイクダンス」を観に行く。アリオン音楽財団の玉虫さんが、以前から念願かなって日本に呼ぶことができたと言っていた。左に舞踊評論家の志賀信夫さん、右に堤広志さんが座る。日本、ドイツ、フランスの才能あふれるストリートダンサーが楽しげに踊る。観ているお客さんも一緒に楽しむ。自分が楽しむことが何よりも大切…でないと、他の人には決して伝わらない。

12日。suaraスタジオで『青い月』のリハーサル。さとうじゅんこ、作曲家でガムラン演奏家のスミヤントさん、木村佳代さん、歌い手のさかいれいしうさん、作曲家の樅山智子さんが参加。スミヤントさんの「マントラ」を、さとうじゅんこが作品『青い月』のためにアレンジしていく。とてもいい感じです。皆も音に集中して心に響く音を奏でている。いい作品になります。ご期待ください。

本公演にTaguchiでお世話になっている重信芳光さんが音響デザインで参加します。とても心強い。重信さんとは、今後、8月の神村恵さんとの作品『うろ』、9月の森山開次さんとの全国ツアー作品『KATANA』でもご一緒します。共演を重ねて音つくりを深めていきたいと思います。

7/16(日) 14:30開場/15:00開演

project suara
第22回<東京の夏>音楽祭2006 参加公演
live installation - sound+dance+visual vol.8 『青い月』
会場:UPLINK FACTORY

驚異のジオグラフィックサウンドと声・美術・ダンスが響き合う時空

「水墨画のような濃淡を描く電子音」(舞踊評論家・石井達朗)と評される
種子田のサウンド、ジャワの青銅楽器、天高く響き渡る声、そして美術。
ジャワの芸術家とのコラボレーションによる、匂いたつような音の世界。

「これはその場にいた方がいい!
透明感、重量感、飛翔感のあるノイズに包まれた
人の動きと巨大な空間が、浮遊感を伴った緊張感を醸し出す」
坂田明(サックス奏者)

大地を掘り起こせ。
灼熱した鉱物に進行する腐敗と浄化から
精錬された生命の水を得よ。
そして継承者の手により再び灰は撒かれる。
間断なく、ゆるやかに、忍耐強く。

詳細はproject suara websiteをご覧下さい。
美術スケッチ・作品ノートの抜粋がお読みいただけます。

構成・演出: project suara
音楽: 種子田郷
歌: さとうじゅんこ、山川冬樹
踊り: リアント
ビジュアルアートディレクション: 小林和史、甲斐さやか(OutSect)
作曲・ガムラン: スミヤント
ガムラン: 木村佳代、さかいれいしう、樅山智子
音響デザイン: 重信芳光(TOPS)
グラフィックデザイン: 三浦秀彦
音響システム: Taguchi

主催:project suara
協賛:<東京の夏>音楽祭、UPLINK、Taguchi

電話&メール予約:\2,500 当日:\3,000
tel: UPLINK FACTORY 03-6825-5502
e-mail: UPLINK FACTORYproject suara

まだ若干チケットがあります。当日券も別途用意していますので、お時間ありましたら、是非、観に来てください。ご来場をお待ちしています。よろしくお願い致します。皆さまと会場でお会いできるのを楽しみにしています。

at 04:20│コメント(0)トラックバック(0)go taneda │